Albert Anker
アルベール・アンカー

アルベール・アンカー(1831-1910)はスイス出身の写実主義の画家。スイス国内では国民画家として広く親しまれ、故郷の人々の日常生活を描き続けました。

1854年にパリに出て美術館で模写をしたりシャルル・グレールの画塾で学んだりしながら技術を磨いてゆきます。そしてサロンでの入選や政府買い上げを経て次第に人気も出て画家として成功します。

実はその成功の裏には、「地方色」を際立たせることをかなり戦略的に意識していたようです。これにヨーロッパ伝統の古典的写実主義の緻密な画風が合わさり広く人々に受け入れられたということですが、並々ならぬ技術力が無ければ出来無いことなのでやはりすごいことです。

日本では画家に関しての資料はほとんど無く、2007年から2008年にかけて日本国内4ヵ所で初の回顧展が開催されましたが、その図録を除くと洋書の画集に頼るのみの状況です。

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スープを飲む少女
36X47cm
1898年 油彩、キャンバス
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ほぼF8号の大きさの小品。
何気ない少女の食事の様子を描いた絵で、使い慣れたコップや食器、
後にぶら下がった布などの何気ない描写で慎ましい田舎の感じがよく出ています。

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髪を編む少女
70.5x54cm
1887年 油彩、キャンバス
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こちらもほぼP20号の大きさ。
朝の身支度、髪を三つ編みにしている情景を描いてます。
暗い寝室に明るく浮かび上がっている少女の姿は、フェルメールの絵画のような「日常の中の非日常性」といった印象を受けます。

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参考文献:アンカー展図録(2007-2008) 
参考サイト:http://www.albert-anker.ch/