Vermeer
フェルメール

フェルメール
「牛乳を注ぐ女」
1658年 キャンバス・油彩 45.5cmX41cm
アムステルダム国立美術館蔵


言わずと知れた有名なフェルメールの 「牛乳を注ぐ女」。画集・図録・web等を参考に模写に挑み、途中投げ出し状態もありで足掛け3年くらいで"一応の"完成。
フェルメールの作品はどれも細密で、画面のスケール感がわかりにくいほどの(画面の大小にかかわらず、一番ベストなスケール感で最善の描写を施しているのが伝わってくる。)恐るべき描写力がある。その分模写しやすい反面、細かいので忍耐と集中力が必要か。

映画「真珠の耳飾りの少女」を見ると当時の制作の様子が描かれており、絵具を作るだけでも大仕事であったことがよくわかる。世界中から取り寄せたであろう顔料の素となる様々な鉱物などがアトリエのテーブルの上に置かれ、天秤秤で必要な分量を取り、すり鉢で砕いて粉末にしてようやく顔料となる。そして乾性油で練り上げると油絵具になるのだが、絵具を作るだけでも何日もかかりそうである。
そのようにして手作業で絵具を作るため、昔の絵具は顔料の粒子が大きかった。古い絵画が宝石のように輝く1つの要因に顔料の粒子の大きさの違いという点もありそうである。

さらに現代と違って絵具の種類も少ないから微妙な違いの色を出すのも工夫が必要で、混色による彩度の低下や科学変化、耐久性なども考慮しなくてはいけない。
とくに絵具本来の美しさをなるべく損なわないように混色は最小限に抑えられ、色の重なりによって微妙な色彩を表現していた。下地の色を生かしたり、油分を多く含む透明色のグレージングなどで耐久性も増してくる。
等々、模写をするたびに昔の画家のすごさをいつも痛感してしまう。