Joseph Wilhelm Wallander
ジョセフ・ヴィルヘルム・ヴァランデル

ジョセフ・ヴィルヘルム・ヴァランデル 
「田舎娘」(A Peasant Girl)
紙・鉛筆 34.5cmX20.3cm
スウェーデン国立美術館蔵

1821年ストックホルム出身のこの画家はあまり知られていませんが、当時のスウェーデンでは農民生活を主に描いたグループがいて、彼らは田舎を旅しながら伝統的な生活風景などを記録したそうです。
ヴァランデルもそういった画家の1人で、素朴な題材をもとにどこか寓話的でメルヘンチックな雰囲気のある作品を残しています。

これは以前日本でスウェーデン国立美術館の収蔵作品による展覧会で観て以来好きになった1枚のデッサンです。
柔らかく優しい画面ですが、作家の素早く的確なデッサン力を感じ取ることができました。
少女の姿を照らす日差しがとても美しいグラデーションを作り出しています。たかが鉛筆デッサンですが、こういう目の前の対象をしっかりと捉えた素晴らしい作品を見ると原点に帰ったみたいでいいですね、心が洗われます。

”dessin”〜ひとくちにデッサンといっても様々な描画材料によるものが数多くありますが、17世紀ころからデッサンに使われはじめた鉛筆は、19世紀アングルの作品によって最高の完成度に達したといわれています。
僕は鉛筆デッサンというとまずいちばんに浮かぶのはロートレックのデッサンです。ダイナミックな動きを素早く的確にとらえたロートレックのデッサン力は他に類を見ないものです。

スウェーデン国立美術館のサイトを覗くと収蔵作品のデータベースがあって、作家名等から検索するとその作家の作品が観ることができます。
が、残念ながら 「Wallander」で検索してもこのデッサンが出てこないんです。よそに移ってしまったのか、データベースに未登録なのかはちょっとわかりません。他のヴァランデルの作品は観られますが・・・。

>>>スウェーデン国立美術館

■Joseph Wilhelm Wallander ジョセフ・ヴィルヘルム・ヴァランデル
1821年ストックホルム生―1888年ストックホルム没